brush.seiyaのブログ

東京町田でオリジナルの革財布を製作、販売しております。brushという名前で活動させて頂いております。

靴修理業界を検討している方へ

皆さんこんにちは!brush長谷川です。


突然なのですが、この度諸事情で、4年間働いていた本業の靴修理業界から離れることになりました。

今日は製作ネタはおいといて、靴修理業界について私の知っていることを書こうと思います。なぜ突然と思われるかもしれませんが、結構周りから「職人の仕事に興味があるんだけど」と相談されることが多いからです。

ですので手仕事に興味のある方、これから靴修理業界を目指そうか悩んでいる方へ、私の体験が少しでも参考になればと思います!


まずお仕事する上で大事なポイントを抑えておきましょう


①仕事内容は?

②給与はどのくらい?

③福利厚生、年間休日等は?

④キャリアアップはあるの?


さっそく、順を追って説明していきましょう!


①仕事内容は?

靴修理、鞄修理の働き方は大きく分けると2つの形態があります。


1つはお店に立ち、ご来店されたお客様へ接客&修理をこなす。


2つめは会社の工房に勤め、誰と話すこともなく黙々と修理だけをこなす。


この業界において大体の方は前者の働き方です。

お客様がお待ちになった靴や鞄を、カウンセリングをしながら修理プランを提案します。

忙しいお店だとすごくバタバタで、じっくり作業に集中はできません。

どちらかというと「職人」よりは「受付」「接客」の仕事が多いです。

大体どこの会社も1ヶ月くらいの研修期間を得て、簡単なヒールのゴム交換や紳士靴のかかとのゴム交換だけを習得します。そこからはお店に一人で立たされることも多いです。

「たった1ヶ月の研修でお店に立たされるの!?」と驚かれる方が多いですが、その場で行うことの多いかかとのゴム交換だけ覚えてもらい、あとの難しい修理はお店で行わずにお預かりし、本社や外注先の工房に出すということです。

本当に「受付仕事」という感じですね。黙々と作業をこなす「職人」になりたくて入ってきたのに、「理想と違った」と言って辞めちゃう方は多いです。

それでも、接客の好きな方はとても楽しいと思います!

あとは、その店舗を任される店長などのポジションになってしまえば、お店でお預かりした品物を自分で修理するか、工房に送るかはある程度自由がききますので、とても楽しいです。

他にも精神的報酬が多いといいますか、ちょっとした修理でもお客さんから物凄く感謝されることが多いです。


そして後者の働き方ですが、、正直なところ採用されるのはとても厳しいです。

というのも後者は修理経験者であることが前提で、求人もほとんど出ておらず、1から教育をしてくれる会社もほとんどありません。

 では前者の仕事で修理経験をしたからといって後者の仕事につけるかというと、そうでもありません。

大体の方が知り合いの紹介や、運良く話が舞いこんできた方など、いわゆる運とコネがないと雇ってもらえません。

私も一時期下請けの職人として業務請負契約を結び働いたことがありますが、人材過多になり仕事を頂けなくなりました。



②給与はどのくらい?

最初に言っておきますと、どこの会社もお給料は少ないです。

未経験で採用され、お店に立つ仕事から始めると想定した場合、額面で大体18〜21くらいのスタートです。

中でもミス○ーミニットさんなんかは貰える方で、正社員ですと21万から始まり、年2回のボーナスが出ます。年収にすると300前後です。他のところはもっと安いところが多く、大体18万くらい。ボーナスもないものだと考えた方が良いでしょう。

昇給も、店長になるなど役職がつかないとほとんどありません。それでもプラスで2〜3万ほど。もっと貰いたければ、そのままエリアマネージャーなどへの出世を目指すしかありません。出世するほど職人を離れサラリーマンになるお仕事です。


③福利厚生、年間休日は?

厚生年金への加入など最低限のものはついています。他は特にありません。

有給はどこの会社もなかなか浸透しておらず、取りづらさはあります。ミス○ーミニットさんは取れるそうですが。

年間休日はどこも105日くらいでしょうか。あまり多くありません。お店勤務ですと祝日、土日は稼ぎ時ですので休めません。

シフト制で、平日に休みを取る形になることがほとんどです。一般的なサービス業と認識してもらえるとわかりやすいかと思います。


④キャリアアップはあるの?

私が周りで見てきた主なキャリアと致しましては、まずは皆さんお店に立つことから始まります。

3年ほどで一通り店舗運営を経験したのちに


A、店長、マネージャーへと昇進しサラリーマンになる

B、フランチャイズオーナーになる

C、完全に独立し工房を構える。

D、業務請負契約などを結び会社お抱えの「職人」になる


大体の方がこんな感じでした。

A、Bは一般的なサービス業と同じですが、C、Dは職人としてのキャリアアップですね。選択肢の幅は意外と広い業界だと思います。

Aについては言葉そのままです。

Bに関してですが、この業界は特にフランチャイズ化を積極的に推している会社が多いので、リスク少なめで自分のお店を持つことができます。機材や備品は会社からレンタル又は買取という形ですので、出来上がっているお店をほとんどそのまま渡してもらえます。売り上げがある程度あるお店を譲ってもらえれば、そのまま軌道にのることも可能です。


フランチャイズというとコンビニの悪どいやり口(売り上げを取ったオーナーのお店の隣に直営店舗を置いて売り上げを奪う)が話題でしたが、靴修理業界では良心的な会社が多くそういった話は一度も聞いたことがありません。お店を畳んだオーナーさんのお店も何軒か知ってますが、単純に実力不足で潰れたパターンです。

ですので、「オーナーになって自分の店を持ちたいんだ!」というやる気があれば買ってくれる会社は多いでしょう。まずはお店に3年以上立ち会社に信用してもらい、時期を見て会社に相談してみましょう。

ミス○ーミニットやリア○トなんかが特に窓口を開いてます。


あるオーナーさんですと月の売り上げが1店舗で100万、そこから会社へのロイヤリティーや家賃人件費などなど払い手取りで40万〜という感じでした。

最終的には会社からレンタルという形で毎月いくらか払っていた機材も売り上げから一括で購入し、現在も順調に経営しているそうです。

心配な点といえば売り上げはもちろんですが、閑散期(靴修理業界では夏)と、いい人材が雇えるかどうかでしょうか。ほとんどがどこかのショッピングモールなどに入っており、営業時間に従わないといけませんので、人が雇えなければ自分の休みがなくなります。この業界も人手不足ですので、ここで苦労しているオーナーさんは数多く見ております。


Cの完全に独立するプランには物凄くざっくり言いますが500万くらいで揃うと言われています。この仕事は割とスペースも使いませんし、極端な話自宅の車庫に機材を揃えてしまえば成り立ちます。それでお客さんがくるかどうかですが。笑

今はどこの駅にも2〜3件くらい靴の修理屋さんがあるので、個人で完全に独立するのはとても厳しいです。まさにコンビニくらいあるんじゃないの?と思います。

靴修理の需要自体も社会の中で右肩下がりの傾向にあります。直して履くということを想定して作られていないスニーカーなどの普及が原因です。

ですのでどこの会社も靴修理だけでは成り立たず鞄修理、時計の電池交換、合鍵作成などのサービスを取り入れるのは当たり前になっております。

中にはスマホの画面修理やハンコ作成。遠方のお客さんを呼び込むために自宅からお店に靴を送れるサービスなんかも展開するなど、涙ぐましい努力をしております。それだけやってやっとお店が維持できるということです。

私が子供の頃に見たような、お店を構えているだけで集客が取れ、地元民に愛される個人経営の修理屋さんというのはほとんどなくなりつつあります。


Dに関しては①でも説明した通り、運とコネですので、あまり狙ってなれるものではありません。お給料は修理した金額の○%もらえるような歩合制だったりすることが多く、お店に立つ仕事よりは多い印象です。

ちなみに私は歩合制でDの契約の時、1日7時間勤務で日給にして22000円くらい頂いてました。私がこの契約を取れたのも本当に運と人に恵まれて、向こうからお話を頂きました。



まとめ


お給料、休日は一般的な小売やサービス業と同じくらい。

接客と手仕事が好きならやりがいと楽しさはめちゃくちゃあります。しかしやりがいで飯は食えませんので、金銭面でどう折り合いをつけるかですね。

ただ、本人のやる気次第でキャリアアップの道も沢山ありますので、そこそこ夢がある仕事だと思います。


ここまでとても生々しい内容で、包み隠さずに執筆しました!

私が靴修理業界に入ったのは大学生の頃ファッション誌に靴職人が登場しワークブーツのカスタムを行うという内容の記事を見て、「職人ってかっこいいな」と憧れて門を叩きました。笑

結果として私はこの業界を離れることになりましたが、決してこの仕事を嫌いになったわけではなく、単純に他の経験もしたくなったからです。

お給料、休みは少ないですがやりがいはひとしおで、私を頼ってきてくれる常連のお客様も数多くでき、感動する場面も多かったです。

中でも、亡くなった旦那様の靴を綺麗に保管したいからとクリーニングにお持ちになったお客様や、お父さんからお下がりの革靴をもらい、高校の入学式で履きたいから修理して欲しいとご来店した凛々しい顔をした青年は今でも忘れられません。


これ以上熱い思いを書くと、「お客様からの「ありがとう」を頂ければ飯なんか食わなくても生きていける」と話していたワ○ミの社長さんみたいな感じになってしまいそうなので控えますが、とてもいい仕事です!

あまり情報が出回っていない靴修理業界で、悩んでいる方は私に相談して頂ければアドバイスくらいでしたらできると思います。

お読み頂きありがとうございました!

イタリアのオイルドレザー 売り切れていたあいつ

皆さんこんにちは!brush長谷川です。


アメブロからはてなブログへ移転し、使い方にまだ慣れません。

読みづらいところもあるかと思いますがよろしくお願い致します!


ブログを移転した理由は、大人の事情でございます。正直に言いますと、「はてなブログの方が検索に引っかかりやすいらしいよ!」との言葉に深く考えずに釣られたアホでございます


さて、本日より販売開始しました!

ショートウォレットの外ポケット仕様です。

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カラーはプラム、チョコの2種類

革はどちらもイタリアのオイルドレザーでございます。

どちらもとても上質な革です。オイルドレザーですので、浅い傷は豚毛ブラシでブラッシングすると消えるのです。

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いきますよ!

アスペクト比がおかしいのは、動画をスクショしたもので…。なんか申し訳ないです。

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爪で傷をつけました。

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ブラシをかけてます!!

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うおおおおおお!!!!

わかりますでしょうかこの躍動感!!

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アフター。

いかがでしょうか。

不思議な革ですね。革がえぐれてしまったような深い傷は消えませんので、わざと傷つけてみるのはおすすめしません。

プライス¥10800でございます。

https://brush-l.shop/

オンラインストアよりどうぞ!